結晶は胎児の様に血塗れの臓腑から摘み上げられる/ホロウ・シカエルボク
 
田んぼや畑をやっている人間にしたらたまったもんじゃないだろうけど、生憎俺にはそういう連中の都合はわからないし興味もない、そりゃ、大変だなぁとは思ったりするけれど、交通事故のニュースを目にした時の感想とそんなに違いはないくらいのものだろう、数人の、自転車の学生たちがまだ苦しみをまったく知らない声で浮かれながら窓の外を通り過ぎる、無条件で自分を肯定出来る時代、らしい、というのは俺にはまったくそんな感覚はなかったからだ、一〇代の時が一番、俺は人生に絶望していたような気がする、居心地のいい場所がひとつも見つからなかった、同じ教室に居る連中が何について話しているのかまったく理解出来なかった、世界の外に居る、
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