アズール/みぎめ ひだりめ
 
ありふれた表現のなかに
ひとりで住んでいた
古紙のあたたかさに沈む
からだは文字になった

ペン先が 宙を書いている
濡れた宇宙が 呼吸する
それが滴って 喉に咲く
明日が爆ぜる

ブリキの巨人が踊っている
オレンジの月の舞踏会
泣き虫な竜が 吠えた
鉄製の洞に響く

嘘つきだと
嘘つきだとさ
笑えない物語みたいだ

理解されたいって ありふれた
売れない 言葉の綾のよう
期待しないって 嘘みたい
そんなことばっかだ

薄明かりの群青と
宝石のうろこ 顔なしの
砂嵐に 澄んだトカゲ
喉から舌を出す
おまえの言葉を喰らわせて
文字が喉に咲いた
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