忘却の刻/栗栖真理亜
 
ゆったりとした音楽
慌ただしく鳴るカップ

霞んだ間接照明のなか
忙しなさとスローとが交差する

人の話し声はやがて子守唄となり
瞼を重くする魔法

誰もが他人には無関心でいられる

極親しい友人との睦言

空間に漂いながら刻々と時を忘れ
鼻先掠める珈琲の香


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