乾いたオアシス/リリー
 
!」

 以前にも、彼女は
 (鞄にカッターで切られたような傷がついている)
 (長傘の骨が折られた)
 (机上の私物が触られていて長い黒髪が落ちていた)
 詰所で私が席を外している間に先輩へ
 「あんたがしたとは言うてない」
 と、一方的な私への言いがかりを口にしたらしい

 それを聞いた先輩は管理職のチーフへ報告し
 事実確認をされた上司からは
 「何言われてもほっとけ」
 とだけ言われて
 彼女へは私物をすべてロッカーへ蔵い
 鍵を掛けるように指示された

 「今日は、だから靴もロッカーに入れてるやん」
 「ほんまやな、いつも机の下のボックスに置いてたのに」
 昼食を済ませて化粧室で先輩と声をひそめて話す
 そして詰所で彼女といる時には
 然りげ無く換気する。

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