帰巣/群青透夜
 
水蒸気は雨となり、
川となって、海へ注ぐ。
水の輪廻、
冷然と営まれる、
逃れられない、
世界の宿命。

疾走する絶望、
耳を劈く静寂、
宙ぶらりんの未来、
あまねく平凡な日常、
殊に触れて沁みる、やさしさ、
恋の終わり。
何もかもを飲み込んで、
世界は、切々と回ってゆく。

未来の終わりの、夢のはじまり。
幸福という名のレールが敷かれる。
これっぽっちの。
空が落ちる。

終末の幻影、
どん詰まりの交差路。
過去を切り離して、
未来だけで、生きられたら。
まだ世迷い言。

もどかしい鮮烈さで、
ひとり旅の迷い子も、
君となら抱きかかえよう
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