砂塵の水/月乃 猫
 

蛇口から流れる
この冷たい水を 届ける
喉をうるおす
透明なそれを 手にする 日常に
少女が差し出す 器に あふれるほどに
水を 満たす
一杯
一杯に
「 お母さんに 妹さんへ 弟さんへ
  持っていってください
  好きなだけ
  ほら、
  あなたも 飲んでください
  この水は、とても安心です
どうしても首を振る 少女
「 どうして、
  どうしてですか
  ここは大丈夫。安全ですから

それは起こらない
砂漠の瓦礫の 街の少女には


手に受ける幸せの 水が
こぼれてしまわないように
祈れ

ゴメンナサイ 
ゴメナサイ
ゴメン ナサイ





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