飛ばされた燕/みぎめ ひだりめ
 
ひゅーっ ひゅーっ
燕は白い つめたい風にのされ
空気のはざまを 飛ばされていたのでした
雨粒が羽毛にはじけ じわっと広がり
群青のからだに 水をふくませて
そうしたかと思えば すぐに去っていきます

まるで燕を 置き去りにして
世界が踊っているよう
だって 歯牙にもかけないんですもの
この ちいさな ちいさな
なんでもないような 命

悲しいほどの荒々しさに
燕は息もできぬほど
どこまでも 飛ばされていきました

どこまでも どこまでも
どこまでも どこまでも、、、

、、、、、あっ!

飛ばされた燕は 嵐のなか
一本の木の中に吸い込まれていきました
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