白紙に散る夏/森田拓也
 
 気が利くような言葉はいらない
  素晴らしい特別もいらない

       ── Aimer





咲くいのち散るいのちあり揚花火

しじみ蝶花へ花へと色移り

石塀に命の名残り?の殻

まだ汗に濁りなきかな聖五月

夏の雲牧場(まきば)と読めば牧歌的

夏の空牧場(ぼくじょう)と読み西部劇(ウエスタン)

空気澄み老鶯を聴く雨上がり

十薬の白きを白い雨が打つ

泳ぎ切り岸でぶるぶるする仔犬

血を求め網戸越す蚊のとんちかな

夏痩せはメタボの僕にちょうど良し

大切に来る人思ひ草むしり

斑猫や道過(あやま)たぬ師の教へ

瞳の中に緑踊らせ若葉風

ゴロゴロと去る雷の捨て台詞(ぜりふ)

駄句あまた詠みて白紙に散らす夏


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