詩で人生を語らず/洗貝新
 
そのことで彼女をずいぶんとふりまわしてしまった
憎しみに満ちた目線が離れず
しばらく後悔したことがある
そう、泣くときはひとりで充分だ。
誰にも懇願しなかった悩み
ひとりで生きることの辛さ
愚痴はこぼすまい、そんなこと
、はじめからわかりきっていることなんだ。

あと何年月夜を見るのだろう
ひとり身動きが取れなくなってしまう自分
そのときには懇願するのだろう
誰とも知らないあなたに
これまでお世話になりありがとう
でもどうぞ死なせてください、と
薬を手にして口に運ぶのだろう
そのときには、これまでの人生を愚痴にこぼすのかも知れない
傍らに立つ、あなたに
生きていてよかった  …と
                書きながらもこの改行ではこれは明らかに詩になりました。※これは愚痴ではありません。 ミスの連続で泣くに泣けないだけなのです。 詩は健全なときに書くものだ。泣きたくなるほど崩れたときじゃない。





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