修羅/秋葉竹
修羅よ
修羅よ
雨の中を傘もささず
駆けていった
修羅よ
雷は
君を透かしてみせてくれる
君の真鍮のような骨の形まで
クッキリと
それで
草原に倒れ込んで
だれの心を殺してしまったかを
振り返る
泣きもせず
ほおつたう熱い水は
ただの雨だと断じて
むかし生きたふるさとを大切に想い
そんなことを想う資格さえないと
赤く暗い疾風に吹き抜かれた胸を押さえて
ただ笑おうとする歯を剥き
悲しまなくてもいい
争いはいつまで待っても終わらないけれど
世界はそんな呼吸をしながら
軽めの慈愛でアースを回してくれている
時間が止まらないかぎり
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