黒馬/
森 真察人
長い脚を鞍(くら)から垂らす
彼は動かぬ白馬に跨(またが)っている
馬も体躯(たいく)も憎まず
彼は上品に降りた
船酔(ふなよい)や高炉の穴の旅行映像を
彼ははにかみながら尻目に
乗馬や大学について話し
酒に氷を足した
僕は氷で口元を隠し
夜景の底に張り付く
黒いガムを視た
ガムが僕によく似た女の口に吸い込まれ
女は黒馬となった
僕はそれに跨った
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