百葉箱のなかの祈?書。/田中宏輔
 
小学校四年生のときに読んだ『フランダースの犬』が、すべてのはじまりだという。実際、彼の作品は、神を主題としたものが多い。二十代までの彼の見解は、サドが『閨房哲学』の中で語ったものと同じものであった。「もし神が多くの宗教によって描かれているようなものであるとするならば、神こそ世の中で最も憎むべきものであるにちがいない。なぜかと言えば、神はその全能の力によって悪を阻止し得るにもかかわらず、依然として地上に悪がはびこるのを許しているからだ」(澁澤龍彦訳)


石の水、
     (森本ハル『石の水』読点加筆)
この岩の古い肋(あばら)骨(ぼね)、
         (ゲーテ『ファ
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