信州の朝/花野誉
 

水蒸気が立ち上り

白く烟る農地

遠くには八ヶ岳

折り重なり連なる

パッチワークのそこかしこに

夜明け前から働く人たちが点点点


深く吸い込んだら

山の精気で身体中が満たされる

頭にのっけた手拭いが

朝露を吸う

冷気に芯から目覚める

六角形の光が朝靄の中に差す

息を呑むとはこんな瞬間

瞬きを惜しむのはこんな時

これを見るために

ここに導かれたのかと思う










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