遠浅の.../岡部淳太郎
とおく あさく
どこまでもつづく海のように
僕たちの罪は終わらない
それが僕たちの生を規定している
そうして決められた生とともに
僕たちはいるが
僕たちの罪の裏には
それにふさわしい悲しみや淋しさ
痛みや傷が隠されている
それらの悲しみ淋しさ
痛みや傷を
僕たちの罪とととに祝福せよ
そうした祝福もやがて
とおく あさく
どこまでもつづく海のように
終ることなくつづくだろう
そうして罪を感じて
悲しみや淋しさ
痛みや傷を抱えながら生きるのが
僕たちに与えられた罰であるならば
その生もまた
とおく あさく
どこまでもつづく海のように
終ることなくつづくだろう
そうして遠浅の
生を生きる僕たちではあるが
その生は
遠浅の海のように
深まることはなく
僕たちはその
どこまでもとおく
あさい生を生きる
それが罪の結果であるのに
気づくこともなく
(2025年1月〜2月)
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