住み処/
ひだかたけし
街の明かり灯り
拳を握る子供の
小さな、
それでいて力強い手
遥か遠く置き去りにされた
記憶の帷を突き破り
開く時の瞬間、
内包された何か
ぐんぐん伸び来て
一気に展開され
照らし出される
街の微笑み
飛び跳ねる
子供を取り巻き
伸び広がる瞬間を
灯る明かりの
過不足なく
橙色で充たしながら
今に留まる時の
束の間を祝い 、
握る拳から溢れ出す
懐かしさ憧れを
忘却の渦から掬い出す、
とほい影踏みに人々の心を呼び誘い
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