幻想組曲/大町綾音
「静謐の海」
漁師は、海から海へ渡った
女は、港と湊で眠った……
旅人は、街々をさ迷って商いした
時計が、泣く
時計の歌が、聴こえる……
女が謡って、いる
老師が、材木で子どもを打擲(う)った
旅人は、花街で殺されかけた
女は、解っていた……
漁師が、もっとも幸福だった
順風とともに、大量の魚を釣った
滅びる街の光景を、遠くに見た……
無い、ような希望があった昼……
女は、抱かれずとも眠れた
旅人の、頭上を行くはいく日?
彼氏と、廓(くるわ)のおんな時計……
旅人と漁師の、結婚(男女だったか)
海が、老師を呑み込むのだ!
「
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