ひび割れた空/まーつん
 


僕らが互いに
傷つけあうことで

互いの心に
拳を打ちこむことで

五月の空に
広がっていく亀裂

それは、樹のようにも見える
幹の下から仰ぎ見る
真っ白な枝の広がりに

恵む雨ではなく
奪う風を全身に浴びて
一人ひとりの心に
根を張っていく虚しい樹

その枝には
葉が芽吹かず、花も開かず
どんな鳥も、羽休めにとまれない

その枝はただ
無機質な白い線となって
複雑に分かれていく

空をいっぱいに覆うまで



僕らが
互いの心を殴る度に
涙も忘れた目で、見上げる空に
広がっていく白いヒビ

それは、蜘の巣のようにも
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