闇の行方/栗栖真理亜
 
濁った瞳の上に暗幕が振り掛かる

握り潰した命が悲鳴をあげて指の間から紅い血を滴らせ
黒い大地に歪な池を象造(かたちづく)る
天は狂喜の雄叫びを揚げ嵐を呼び寄せ
病んだ精神(こころ)を深い闇へと突き堕とす
沈んだ幻(ゆめ)はおぼろ気な翳となって
チロチロ傷口を舐め尽くす
灰色の煙はまるで怒りを放つ焔のように身を焦がし
蚤のようにのた打ち廻る罪を嘲笑うけれど
行き場のなくなった罸が長い尻尾を巻いて逃げ惑う

橙色の瞳が柔き夢を打ち砕き
戒めの訓示を愚かな胸に知らしめる頃
うごめく闇は白き無惨となって空の彼方へと消え失せるだろう

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