ぼくのいない惑星/みぎめ ひだりめ
青い風がなく
白い波がほとばしる
草木は朝日に輝く
灰色の月が眠る
すべてが見えるとは つまり
何も見えてなど いないのだ
座席がひとつ空く
泣いたはずの誰かが星を見る
失ったことなど知らずに
誰かがいのちを語る
こころなど見えないのに
語れば花が咲く
見えないのだから
その名すら騙る
炎は人の身をまねる
見出されたものならば
暗闇ですら
この世にあったものとする
約束は魔法になる
いないものをいるとする
こころは鏡になる
言葉はうつしてしまう
青い風がなく
わけも知らずに
いないものとする
鏡にすらうつらないなら
その名すら知らず
語れどいのちはなく
何も見えないなら
感じるこころもなく
約束は魔法になる
泣いたはずの誰かが星を見る
泣いたはずの誰かが
この世にあったものとして
ぼくを見ていた
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