ピアニッシモ/大町綾音
「静寂のむこう」
夜がおわり、朝がおとずれて
静寂のむこう
話しかけてくる神さまたちがいる
あれは小鳥
あれは子猫
あれはのらいぬ
あれは人魚
ためいきとほほえみとで
くうきょなわたしを充たしてくれる
ああ、あれらはほんとうに無邪気な
宇宙さえとりまいていく者たち
静寂のむこう、
不協和音な和音たちがおどっているよ
「目玉やき」
目玉やき
とくいなの
だれでもとくい。
きょうは目玉やき丼
食べるのもとくい!
「えいえんのでんわぐち」
とどかない
きこえているのに
いいかえせない
ここはでんわぐち
ここまで立ってくるのがたいへん
よなかならなおのことたいへん
あさでもたいへん
どろぼうがみんなぬすんでいったらいいのに!
そしたらでんわもきえるのに
はなすのがにがて
いきるのがにがて
わらうのがにがて
ボクはえいえんのでんわぐち
えいがかんの非常階段のように
うすくらがりでみどりのひかりを
またたかせているほの暗いばしょ!
ボクはえいえんのさびしがり屋、
だよ。
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