悲しいうた/秋葉竹
 


 

宵の夢
夢に穢され添い寝して
カラスに起こされてしまう疾風



触れたくて
触れられなかった悲しみを
あすの予感と呼んでもよいかな



生きている
だけの世界に悲しみも
苦しみも降る ただ星も降る



野の仏
笑ったときにふと想う
放浪するなら山頭火の旅



春に飛ぶ
燕のうるさい頑固さに
ふと想い出す生きる意味とか



あの絵より
悲しいうたでも書けたなら
いつ死んでもよい 沈黙の月



恋よりも
楽しい揺らぎはないという
冷たい風でも冷えない赤玉










戻る   Point(1)