箱/大町綾音
 
「みかんのはこ」

うちではふるいようふくは
みかんのはこに入れられて
ほんのりといい香りがついていたけど、
とてもしあわせだったよ。



「りんごのはこ」

いつまでもつめたいね。
つめたい廊下においているから、
なつになってもつめたいね
つめたいのはいいことだね
いつまでたってもなかみのりんごが、
だって、いたむことがないんだから、
りんごのはこ、たいせつだね。



「家」

ぼくたちの家は
ぼくたちを入れる箱
ぼくたちはなかみ
たいせつななかみ
家をつくっているのは家族
家族はたいせつなつながり
けっしてなかまわれしちゃいけないよ
もしもなかたがいすることがあっても
みっかごにはなかなおり
よっかごには一緒にゆうはんをたべて
いつかごには一緒にねむるの
そうしていちねんが過ぎたら
おたがいにもっと好きになって
おたがいにもっと大切にできるから
みんなでおふとんでまるくなって、
きっと。
たのしい歌をうたおう。
みんながみんなじゃないけれどね……
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