青空の続き/
たもつ
椅子の背もたれに届く
夏の小さな雑音
子供になった父は
昆虫採集に出掛けたまま
帰ってくることはなかった
大事にしていた許可証が
風に飛ばされて
どこか遠くの海溝に
沈んでいく様子が
ここからでも見えた
早く帰っておいで、と
布団から出た父の肩を擦る
薄く開いた口元から
青空の続きがこぼれる
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