古い古い一冊の雑誌のような人にわたしはなりたい/ただのみきや
 
粉でも鼻から吸ったのか
鬱憤の真っ赤な花びらを散らしながら
文字が奇声を張り上げる

太陽がまぶしすぎるのか
空が青すぎるのか
わたしは殺す相手を見つけられないでいる

ゆらめく真実の前で
不動を決め込むには
白骨たちは踊り続けるしかなかった
でもその骨はあっちこっち
どこかの誰かから借り受けて
組み立てた不格好なまがいもの
もともとの骨はどうしたの
きみはどこへ消えたんだ

老いた父母をいたわるように
幼子をいつくしむように
この風穴の向こうにあるものに
こころは鳥のよう
決してことばにならないものと
ことばに置き換えることしかできないもの
叶わぬ恋
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