横木さんの本を読んで、やさしい気持ちになった。/田中宏輔
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そういえば、何年か前にも、「妃」という同人誌で、
「あれはおかまをほる男だからな」って書かれたことがある。
ほんとうのことだけど、ほんとうのことだからって
がまんできることではない。
芳賀書店から出てる、原 民喜全集を読むと、
やたらと、「吻とした」って言葉が出てくる。
たぶん、よく「吻とした」ひとなのだろう。
民喜はベッドのことをベットと書く。
ぼくも、話すときに、ベットと発音することがある。
ぼくは棘(きょく)皮(ひ)を逆さにまとった針鼠だ。
動くたびに、自分の肉を、傷つけてゆく。
さあ、おいでよ、ぼくの庭に。
降ると雨になる、筆禍の雨の庭に。
ぼく
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