横木さんの本を読んで、やさしい気持ちになった。/田中宏輔
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振り返っても、そこには、老婆の姿が、やっぱりあって、
何だか、ぼくは、とっても、さびしい気がした。
その後、一度も、出会わないのだけれど
その老婆のことは、ときどき思い出していた。
そして、きのう、横木さんの本を読んで思い出した。
まだ、濡れているのだろうか、ぼくの言葉は。
さあ、おいでよ。
降ると雨になる、ぼくの庭に。
そうさ、はやく、おいでよ、筆禍の雨の庭に。
ぼくは、ブランコをこいで待っているよ。
あれは、きみが落とした手紙なんだろ。
けさ、学校で、授業中に帽子をかぶっている生徒がいた。
5、6回、脱ぐように注意したら、
その子から、「おかま」って言われた。
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