つれづれと/大町綾音
わたしが買ったというのはあるのですが、すっかり絵も描かなくなった父に、「塗り絵くらいからまた挑戦してみたら」と先日電話口で言い、父もその気になったらしく、「んだなあ、やってみっか」──のような前向きな反応になったこと。そして、「お前、俺の部屋、勝手に掃除したべ」と怒られたものの、「ううん、した」「……んだから、俺の色鉛筆見つからねえんだ」……と。
こんな感じで、なぜだかそれだけは本当に心からほっとしました。
一緒に母へのお供えのクッキーなどを(父が間違って持ってきてしまったので)食べて帰り。わたしはこの父という人が、ひたすら不思議な気もちでしたが……。やはり、あと十年くらいは、父にも生きてもらう心づもりでいます。
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