教室/秋葉竹
その諦めの羽は
はるかにむかしから積もり積もり
積もり
積もりつづけ
一万羽の亡骸と化し
かつてない眺めを
花冷えの朝に現出させる
濃いめの筆力で
鉛筆の芯をぐんぐん削るように書き込む
けっして目覚めることのないように
純粋な夢を書き込む
窓の外のあすなろの木にとまった
一匹の鴉の鳴き声が
すこしだけ誰かの声に似てる気がして
教室の窓ガラスは
キラキラに散りばめられたダイヤモンド
脆弱な者だけが夢をみられる
真綿のようなしあわせが降りそそぐ時間
「悲しみって耳障りだね」
いったい
空気凍てつく無言を
突然突き崩させることがないよう守っている
『君』の言葉のなかの最後の光のカケラは
いまもまだ無風で安楽な癒しなど
こいねがっているということなのか?
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