しるし(改稿版)/涙(ルイ)
 
の世界のどこかで
私を探してくれている人がいるとしたら
あなたを探してくれる人がいるとしたら
それがたとえひとりよがりの気休めだったとしても
そんなふうに思えるだけで
こんな生きづらい世界の果てでも
なんとか生きていけるような
生きていけそうな気がするのです
もう少し踏みとどまっていけるような
踏みとどまっていられるような気がするのです




ごったがえす人ごみの中 ひとりたたずんでいると
誰かがふと 私の名前を呼んだような気がして
ふりむくとそこにはただ 風がやさしく通り過ぎる5月の街並みに
足早に通り過ぎる人々がいるだけでした



あなたはいまごろ
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