悪魔のあいうえお/
菊花紫煙
っ! と思った俺は、そうだなあ、父子ともどもあの世にエスケープできたことは幸せだったかもしれない
そんなことを思ったような、そんな朧気な生前の記憶があるのだ
今は父と二人、釣り堀で竿を投げている
虫を餌にするのは好きじゃなくって、ルアーばっかり使う
外界に向けて糸を垂らしている
無論、糸先には死にきれない連中ばかり、食いつく針を丈夫に括りつけて
責任者は例の、小話好きの、くそったれの悪魔さ
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