悪魔のあいうえお/菊花紫煙
いてくれ、と永遠の美男子は異人に懇願した、同性だった
異人は断固拒否した
「どう、話に決着をつけるつもりか?」
「美しいに性別は関係ないことを現代人はわかっているが、俺が話しているのは大昔の話だ」
「つまり?」
「つまり、異人は沼に足も手もとられて内蔵一杯、泥に満たされて苦しみながらこの世を去ったという話だ」
悪魔はうひょひょひょっと笑う
「最後は お だ、最後は お!」
お願いします、通してください
俺に何の恨みもないだろう
俺はただここが抜け道だから来ただけのこと
額に傷つけて土下座をすれば通してやるというのなら
いくらでもやろう
頼む
通してく
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