悪魔のあいうえお/菊花紫煙
 
に構っている暇はない」

悪魔は言う 
「実は先まで飲みの席だった、ちょうど引き上げてきたところである
ひどく機嫌がいいから、本来なら貴様の尻の毛まで食い尽くすところを
見逃してやろう、しかし代わりに言の葉を聞かせろ
いいか? あいうえお だ、あいうえおから始まる言の葉の集合体を聞かせよ」

俺は言う
「あいうえお、か」
悪魔は言う
「そうさ、あいうえお だ、まずは あ!」

あ? あー あ……あ!?


アリの群れには幼い時分より慣れ親しんでいたが
転職先の不安を留める事ができず
変化後の情緒の安寧を信じられず
公園のアリの行列の向かう先の巣穴に
スターバ
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