夜想、霊我 に/ひだかたけし
白璧六畳の小部屋から
ふとベランダに出れば
やはらかな光射し込む
この夜半 、
想わず見上げた瞬間に
輝きの半月 ぽっかりと
包み込まれる静かさに
この肉身の深く息を吐き
出した音色のうっすらと
この脳髄に響き抜け
桃の花びらの 、
ちり ちり ちり
予め織り込まれていた
あの残酷な肉体の
終焉からこの今迄、
辿り来た己意識の変容を
自らの肉を引き裂き去った
貴女に伝える術もなく
ただ葬送 、
明日に膨らむ弓月の
奏でる木霊の光響、
充ちて耳傾け唯ひたすら
思考それ自体を体験しつつ 、
内なる外なる内に鳴る宇宙
〈私である〉チカラ
直に観入りては向上す、
低い私の此処に居る
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