ホーム・カミング/ホロウ・シカエルボク
タマムシの羽みたいな色の朝焼けが始まって、一晩中歩き続けた俺は高速の高架の下で眠ろうとしている、寒さがどうだとか暑さがどうだとか、虫に食われるかもしれないとかもうそんなことどうでもいいくらい眠くて、人気の無いここなら数時間くらい一切の邪魔も入らずに眠ることが出来るだろう、バイパスが出来るまではこのあたりの唯一の道だったが、今となってはもの好きぐらいしか通らないようなところだ、それ以前にこのあたりの人口は減り続けていて、タフなバイクに乗ってオフロード手前の旧道を通ろうなんて考えるような血気盛んな年代の人間は数えるほどしか居ない、俺はあっという間に眠りに落ちた、夢を見るのが容易い時代ではないけれど
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