はじまりが歌えているかどうかが/ホロウ・シカエルボク
 
う、そして俺が捌いた魚をどんな風に仕上げようかと考えながらこちらにやって来るだろう、俺は小さな皿に魚を並べて、ラップをかけて冷蔵庫に入れておいた、彼女は俺が勤めていたレストランよりも数ランクは上の店でウェイトレスをしていた、どういうわけか俺の造る料理を気に入って通っているうちに、というわけだ、店の前で偶然会って、あなたの作るお料理とても好きです、と言われた、俺はいやあ、出来合いの具だのソースだのに少し味付けして出してるだけですよ、と謙遜した、彼女は首を横に振って、そういうことじゃないんです、と、政治家の演説みたいに背筋を伸ばした、私のお店のコックさんたちはきちんと料理の学校で勉強してきた人たちばか
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