知の偏在/室町 礼
ど、二千年以上の歴史を有するかの国の王たちの
栄枯盛衰をみると日本と違って王権一族は皆殺しの憂き目
にあい、逃れた子孫たちは広い国土に散り散りになって
非人のような生活を送る。中国の場合はこうやって貴種と
俗人との混合が二千年つづくことで人間の器量のある種の
偏りを自然に避けて、隅々まで均等な能力や美的センスを
もった人々の遍在を可能にしている──ような気がする。
多分それが中国の活力を支えているのではないか。
つまり
社会というものは知的能力の凝縮や偏在がもっとも忌避すべき
ものであって、いまの日本はその悪しき状態に泥沼の
ように落ちているとみなすことができる。
人間の身
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