悪夢は私を感光しない/
由比良 倖
れてしまうまで、
地球も空も回転を止めない。
3
だから私は暗い場所で待っている、
世界が花のように消えていくまで、
(引き出しの中の鉛筆箱)、
(靴箱の中の電子線/空)、
私には折られた世界と祈る空、ばかり、
(いいんだよ、誰も帰ってこない)、
(この空は、私たちのもの)、
私は、歌を飲み込んで、まるで
死んだように目覚める、もうすぐ何もかも、
ひっそりと消え去ってくれることだけを
冷え切った手で祈りながら。
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