空が晴れて/ブルース瀬戸内
 
おじいちゃんは手を振った。

おじいちゃんは笑っていた。

また来いよ、と言った。

また行ったら

おじいちゃんは白黒の写真になっていた。

写真のおじいちゃんは笑っていた。

僕は泣いていた。

でも何があったのか分からなかった。

ただ、おじいちゃんがいなかったから

僕は泣いていた。

おじいちゃんは俳句を愛していた。

おじいちゃんは短歌だって詠んだ。

駆け抜けるような人生だった。

駆け抜ける中で世界と鮮やかに対峙していた。

おじいちゃんと同じ世界にもう少しいたかった。

僕はお葬式で親戚の子と喧嘩をした。

もうおじ
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