自称詩人は眠らない/花形新次
自称詩人は
寝床に入って10秒後には
いびきをかいてしまうのだが
家族が顔に濡れタオルを載せて
徐々にダメージを与えようとしているのを知り
寝ていられなくなったので
今夜も一晩中起きて自称詩を考えている
家族はそんな自称詩人の晩飯に
睡眠導入剤を入れて何とか眠らせようとしているが
自称詩人はそれを察知して晩飯も食べないようになった
睡眠も食事もとらなくなった自称詩人は
どんどん衰弱していくことになり
結果的に家族の目的は達成され
とても喜ばしいことになっている
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