失くしたナイフ/ホロウ・シカエルボク
とはないけれど、時々手に取って眺めたりした、そういう時にはあまり褒められたものではない想像だってした、今まで考えたことがなかったけれど、俺はあまり刃物を持つべきではない人間なのかもしれない、まあ、数年間部屋に置いているけれど、特別問題を起こしたことも無いから、それはそれでいいのかもしれないけれど、それにしても十年近く大事に使ってきたベッドにこんなことで傷がつくなんて複雑な気分だ、いっそのことこのままオブジェとしてナイフを刺したままにしておこうか、女の子が訪ねてきたらこの悪趣味を面白がってくれるかもしれない、まあ、女の子が訪ねて来ることなんて全然ないけどな、簡単な朝食を摂ることにした、インスタントコ
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