こんなにも素敵なことが溢れている日々を/阿ト理恵
いけないことになっている。ある日、その家の息子が、「うさぎさん、紅茶はいかがですか?」とわたしに言ってきたので、「はい、では、うさぎとしていただきます」と、そのお宅にあったうさぎの耳カチューシャをして、不思議の国のアリスコップに淹れたアールグレイの紅茶をいただてしまったのだ。それから、たまに、わたしは介護士からうさぎに変身し紅茶をいただいている。ある時はムーミンコップだったり、ハリネズミだったり、パンダだったり。
7、森の中で夢みる少女の巻
その日は、突然きた。森の中、あこがれの人が焼いたクッキーを飲み込めなくて頬張っていたら、「リスみたい」とクスっと笑われた。わたしは、咄嗟にリスの回文詩を紙に書いて見せた。あこがれの人が抱きしめてくれた。
以上。
これからも、いま生きているこの瞬間に素敵なことだと感じられることを探してみようと思う今日このごろなのであります。
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