炎が喚く/ホロウ・シカエルボク
無い、ほとんどのものはまやかしだったはずじゃないか、案山子のような夢が物置でゆらゆらとしている、もしもそいつに鳴声があるとすればか細い声で鳴くだろう、道路工事のドリルと重機の音、少し離れたどこかの路上でライフラインが整備されている、交通誘導警備員はいつでも自分の役割にいかほどの価値があるのかと自問している、おっと、これは差別的な発言ではない、ほんの少し経験したことがあるのを思い出しただけだ、あの頃は金に困ることなんか無かった、でも一番虚しい時間でもあった、卑しい連中が大勢で自分が何者かであるように見せようとしていた、もうこんなことを思い出すことなど無いと思っていた、騒々しいインストルメンタルが流れ
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