NWSF怪畸幻想譚 斬魔屋カンテラ!!『人質、或ひは齒母神』全/?任勇梓 Takatoh Yuji
これが厄介な代物だつたのである。
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〈生まれ脊負ひ猫なら猫の道をゆく只それだけが何か億劫 平手みき〉
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「私は」木嶋さんはさう云ふのだ。「いつ迄も待ちますよ。先生に、だうしても純文學のフィールドを、開拓して頂きたいのです」タイトル『かぼちやの馬車に乘つて』。文壇のシンデレラ・ボーイである自分を、皮肉つた表題だ。内攻のない純文學などあり得ない。何となれば、内攻のない自省など、存在しないからである。今まで、テオは、内攻、なる物を敢へて避けてきた。裏を返せば、一介の猫である自分など、人間である事の豊饒に比すれば、塵・芥の如き者に過ぎないのではない
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