NWSF怪畸幻想譚 斬魔屋カンテラ!!『人質、或ひは齒母神』全/?任勇梓 Takatoh Yuji
」カ「カネを積んだのさ。お宅の天才猫に百萬圓出す、と云つてさ。テオには惡いけど、安い買い物をしてしまつたよ」
【?】
テオはだから、母性と云ふものに弱かつた。これは怜悧な彼の、唯一の弱點、と云つてもよかつた。何度も、母を騙る【魔】に憑り殺されさうになつた事がある。が、それでも母性を求めて已まない。天才猫・テオ。またの名を、小説家・谷澤景六。何処へ行く?
冬の日射しが、テオの書齋に滿ちてゐた。でゞこが、丸くなつて眠つてゐる。そこに身を寄せて、テオも晝寢と洒落込んだ。夢- 夢の中の「母性」の象徴は、出てきて間もなく齒母神に變化ヘンゲし、テオを大いに悩ませた。女、なるものへの恐怖
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