NWSF怪畸幻想譚 斬魔屋カンテラ!!『獸醫師・押越亨とドクトル・キメラ』全/?任勇梓 Takatoh Yuji
 
らはカネを出させない。それがあたしら泥棒の流儀なんですわ。失禮」コーヒーを飲み終へた女を促して、席を立つた。


【?】

 そんなふうに、やはり、嫌はれてしまつた押越。「うーん、失敗失敗」。本人、違ふ世界の住人、と云ふ自覺をさらけ出せば、もつと會見はスムーズに行つた、その事を理解してをらず、証左として、その後二度と國王は、押越の前に姿を現はさなかつた。


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〈貴族とは不自由なもの王更に自ずと云ふを持てない宿命サダメ 平手みき〉


 さて今回は、そんなずつこけ學究の徒、獸醫師・押越の持ち込んだ「ヤマ」の一件。端的に申せば、彼のさう云つた「探求
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