幻身についての序論/森 真察人
 
きる しかしあなたの眼を視てはならない それはあなたの網膜を僕の網膜でもって把えようとすること いわば途方もない?捩れ?の反復による円筒に溺没し 投身へと至る混沌に限りなく近づくことだからだ 鏡像と網膜上の像との周縁としての虚像には出来る限り出会わぬことだ 望ましくは?捩れ?をほとんど垂直に視 楽譜に起こすことだ 情緒を視ること これは顔面に囲われた両の網膜の鏡像を視ることであり一切の事情がひときわ大きく脈打つ瞬間にほかならない 相容れぬ僕の網膜の鏡像=平面系と僕の網膜にうつされた僕の網膜の像=曲面系とは非常なエネルギーを含み螺旋状に上昇あるいは傾斜しそれらの?捩れ?は少女のかたちを取る たとえば
細心の空から無数の赤や黄のちいさな紙片とともに少女がうつぶせに倒れてくる 少女の右手が僕の右手に重なる??網膜も精神も役割を終えた かの把えがたいあまりに連続的な=なめらかな熱が交じる時間を 観ずること
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