ぼろぼろのつばさ5/青色銀河団
なきっと
でもね子供の俺よ
おまえは
どこの誰が作ったものよりも
飛びっきりうまい料理があるのを
まだ知らない
ちょこっと音程のずれた鼻歌が
それは素敵な賛美歌にきこえちゃう瞬間を
まだ知らない
無条件に
自分の味方がいてくれることの安心を
まだ知らない
夕方公園をひとり歩いていても
胸のおくがずっと暖かなのを
まだ知らない
冬がきて
雪が降って
一面真っ白になって
寒いねっていう笑顔の暖かさを
まだ知らないだけなんだ
[手紙]
先生 先生
大好きだった
先生に
手紙を あげる
扁桃腺で
熱が 出て
黄色い国を
歩いてた
黄色い砂の
黄色い風
背伸びして
ぐんと
右手
伸ばして
流れる風に
一個ずつ
文字を 書いた
この星に
生まれてから
はじめて 書いた
はじめての
ぼくの手紙
先生 先生
熱が
あたたかくて
気持ちいいよ
先生 先生
大好きだった
先生に
手紙を あげる
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