NWSF怪畸幻想譚 斬魔屋カンテラ!!『倖せの黄色いジムニー』?/?任勇梓 Takatoh Yuji
 
は雑誌記者なのです。事の揉み消しを条件に脱會したのです」「そこ迄訊いたら充分だ。あんた、成佛してくれ」
 カンテラは後部坐席に、護摩の灰を一?み、撒いた。女は消えた。


【?】

 前田聖心の邸宅、「道場」と銘打つた屋敷に、カンテラは忍び込んだ。
 カ、カンテラ! 前田は焦つた。「あんたが來たつて事は、私は斬られるつてことか?」前田は金の延べ棒を何本かカンテラに差し出し、「ほれ、カネなら幾らでも。命だけは取らないでくれ」「まあそれは頂いて置こうか」手を前田が差し出したその瞬間、
「しえええええいつ!」前田は袈裟懸けに斬られた。「た、たばかつたな」と云ひ殘し、前田は絶命した。「俺が許しても、自殺者たちの靈が許さん筈だぜ。だうせ不法寸前な存在である俺だ、何でもやるさ」カンテラはインゴットを懐に仕舞ひ、悠然と前田邸を後にした…。


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