NWSF怪畸幻想譚 斬魔屋カンテラ!!『倖せの黄色いジムニー』?/?任勇梓 Takatoh Yuji
 
きやあなあ」

 佐武ちやんに拠れば、前の持ち主は、二束三文でクルマを賣ると、その後雲隠れしてしまつたらしい。これでは、事情を訊く事は叶はない。カンテラ、護摩を焚いて、ジムニーのミニカーを投げ入れた。ぼんつと火の粉が上がる。「倖せ」、と易は答へた。「倖せ、ねえ」


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〈倖せを確たるものと限定し今日を乘り切る勇氣もなくて 平手みき〉


 じろさんは例により、関連の事件を訊き出さうとして、仲本と都内某バアで落ち合つた。
 仲「『倖せ教』つて知つてるか、あんた」じ「新興宗教か?」「さうだ。數年前から勢力を拡大、今でも布教活動を續けてゐるよ」「ふむ、その線でテオにもう一度当たつて貰ふか。溺れる者は藁をも、つて奴だ」゙ 

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