なごり雪のような雪が舞う真冬のとある日曜日/山人
。そういえば大きな観光バスが数台停車していたので、それに乗ってきたものと思われた。
本堂の中に入り、木像の部位を触ることでその部分が健康または治癒するという儀式を行う。膝、肘、胸、頭、腰と年々増えているのではないか。聞き耳を立てていると、となりの家族風の方々が、全身触らないといけない、などとしゃべっていたのが印象深い。数えきれない客に触られた木像はてかてかに光っており、人々の悪い部分が如実に表れているのだ。木像を触ることで事が解決するわけではないが、その万に一つの可能性を、一つの遊びとして楽しんでいるのだ。
本堂から下の通路は多くの観光客が歩いていたが、かなり中国語と思われる言葉が飛び交
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